【経済】めんつゆ「万能」でも売上減…使うのさえ面倒な風潮?

2018年5月21日11時8分

 そうめんなど夏の定番メニューに欠かせない万能調味料の濃縮つゆの売れ行きがふるわない。共働きの増加などで料理に手をかけない世帯が増え、つゆでさえ使うのが面倒という傾向があるという。各社は、簡単な料理レシピの提案や少量化などで消費意欲を盛り上げようとしている。

 「追いがつおつゆ」が主力ブランドのミツカンは、追いがつおをはじめとした濃縮つゆの売上高が、4年前に比べて1割近く減った。価格競争も激しいという。そこで、普段料理をしない人でも簡単につくれるレシピの提案を強化。つゆと牛乳だけでつくれるカルボナーラクリーミーパスタやポタージュスープを自社のサイトなどで提案したところ、反響が多く、手応えを感じているという。

 高級化路線にも踏み出した。2月に発売した本格料理だし「八方だし」は、つゆ本来の価値に気づいてもらおうと、一流料理人のお墨付きを得て開発。参考小売価格は「追いがつお」のほぼ倍するが、だしのうまみと香りをアップ。売れ行きも好調だという。

 ヤマサ醬油(しょうゆ)は、レシピ投稿サイト大手のクックパッドと組んで、トマトやタマネギなどすりおろした野菜と「昆布つゆ」を混ぜるだけでひと味違う、つゆができるとうたう。これなら、料理をしない家庭でも、冷凍うどんと合わせるなどして手軽に利用してもらえると算段する。

 ただ、「料理そのものをしなくなっている風潮に対して、調味料メーカーとして太刀打ちしようにも限界がある」(広報)とも話す。

 市場調査会社インテージによると、めんつゆ市場は縮小傾向で、2017年には500億円を割り込んだ。「かつては調理を簡単にする調味料として需要が高かったが、より一層の簡便化志向に対応していく必要がある」としている。

 ひとり世帯の増加に合わせて売り方を変える動きも。「めんつゆ」が主力のヤマキは、主流だった1リットルの大容量タイプから、400~500ミリリットルの小容量タイプへのシフトを進めた結果、16、17年度の売り上げは前年度比2~3%増となったという。(佐藤亜季)


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