【裁判】司法解剖受けた乳児の頭にレジ袋 精神的苦痛を受けた遺族、葬儀会社を提訴 兵庫

2018年5月21日11時40分
 司法解剖を終えた乳児の遺体の頭部にレジ袋をかぶせられ、精神的苦痛を受けたとして、兵庫県丹波市の両親が21日、県警の委託で遺体の処置にあたった神戸市中央区の葬儀会社を相手取り、慰謝料など220万円の損害賠償を求める訴えを神戸地裁に起こした。遺体を引き取った両親が包帯の下のレジ袋に気づき、県警に抗議していた。

 訴状などによると、亡くなったのは生後5カ月の北野正弥(しょうや)ちゃん。昨年10月4日朝、母恵さん(36)の隣で寝ていたが、ぐったりしているのが見つかり、搬送先の病院で死亡が確認された。県警は死因を調べるため司法解剖を実施。翌日、両親に遺体を返した。

 恵さんは正弥ちゃんの顔が腫れていたため頭部の包帯をほどき、レジ袋がシャワーキャップのように付けられているのを見つけた。葬儀会社の担当者は「体液が漏れ出すのを防ぐ目的」と説明したとされる。

 遺体の扱いについて、死体解剖保存法は「特に礼意を失わないように注意しなければならない」と定めている、と両親は指摘。「ぞんざいな扱いを受け、悲しみに追い打ちをかけられた」と訴えた。

 提訴後に会見した恵さんは「(正弥ちゃんは)家族の絆を深めてくれる素晴らしい存在だった。死者への扱いをもう一度考えてほしい」と話した。葬儀会社は「コメントは差し控える」、県警は「訴訟にコメントする立場にないが、司法解剖後の遺体の取り扱いについては適正な運用に努めていく」としている。(後藤遼太)

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