【ゲンダイ】“蚊帳の外”気にして…安倍首相が画策する米朝会談現地入り

来月12日にシンガポールで開催が予定されている史上初の米朝首脳会談。安倍首相が当日、現地入りするのではないかという仰天情報が飛び交っている。政府は、外務省の金杉憲治大洋州局長を派遣する方針だ。

 さんざん対北「圧力」を唱え、北朝鮮との対話を拒否してきた安倍首相が、今になってノコノコ出かける理由は何なのか。

「安倍さんは北朝鮮問題で“蚊帳の外”といわれていることを非常に気にしています。政権が気をもんでいるのは、中国や韓国が米朝会談に何らかの形で参加すること。実際、その可能性はゼロじゃありません。そうなると、日本はますます『置いてきぼり感』が強くなってしまう。中国と韓国が現地入りするなら、とにかく自分も行って『一緒の写真に納まりたい』と考えているようです」(外交関係者)

 要するに、蚊帳の外と批判されないようにしたいというワケだ。一説には、安倍首相は24日から訪問予定のロシアで、プーチン大統領に「一緒にシンガポールに行こう」と呼びかけるのではないか、とか、米朝会談が行われる隣の部屋で待っているつもりらしい、といった話も流れている。

金正恩に会えるのか

 問題は、たとえ現地入りしたとして、金正恩委員長に直接会うことができるのか、「蚊帳の外とバカにされたくない」という動機だけで、外交成果なんて期待できるのか、ということだ。元外交官の天木直人氏はこう言う。

「安倍さんは、行くなら、金正恩と会わなければ、みっともなくて帰ってこられないでしょう。『拉致被害者全員の即時帰国』と意気込んでいる以上、手ぶらで帰国できるはずがない。成果ゼロでは、ただの恥さらしですからね。かといって、従来通り圧力一辺倒の主張を繰り返しに行くだけでは融和ムードに水を差すことになる。北は『拉致問題は解決済み』という立場です。仮に安倍さんがシンガポールに行くとして、どのような“成果”を持ってこられるか見モノですね」

「外交の安倍」を自負しているようだが、安倍政権の5年間で拉致問題は何も進展していない。北朝鮮とコンタクトするルートすらない。「北京の大使館ルートを通じて対処」「米国と完全に一致」などと壊れたレコードのように唱え続けているだけだ。とうとう、金正恩から「日本はなんで拉致問題を直接言ってこないのか」と揶揄される始末である。どこが「外交の安倍」なのか。

日刊ゲンダイ
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