【認知症】スマホで徘徊者捜索実験、次々と発見 GPS内蔵靴を開発 「有用性が確認できた」

認知症などで徘徊はいかいする高齢者の早期発見に役立てようと、情報通信会社「フジクラ」(東京)など4社が、全地球測位システム(GPS)を内蔵できる靴を開発した。

 同社は今春、鹿児島県肝付町でこの靴を使った捜索実験を行い、「有用性が確認できた」としている。

 靴には、GPS機能を備えたチップ(縦4・5センチ、横3・7センチ、厚さ1・2センチ)を埋め込むスペースが、左右の甲とかかとの部分にある。いずれかにチップを入れておくと、スマートフォンタブレット端末に靴の現在地が表示される仕組みだ。画面には、靴を履く人の顔写真や年齢、身長などの情報を表示させることもできる。

 同社は3月上旬、肝付町と協力し、認知症の人が行方不明になったとの想定で捜索実験を行った。この靴を履いた住民ら2人が町内を歩き始めて約20分後、2人と面識のない5~7人の2グループが捜索を開始。約30分後に最初の1人を見つけ、その10分後にはもう1人も発見した。

 同町では、2016年3月から4月にかけて高齢者3人が行方不明になる事案が相次ぎ、うち1人が死亡。これを受け、町は同年12月から同社などと連携し、GPS機能を生かした行方不明者の捜索訓練を行ってきた。

 町地域包括支援センターの猪之俣恵介・社会福祉主事は「高齢者が事件や事故に巻き込まれるのを防ぐのに効果がある。商品化されれば活用することを考えたい」と話していた。(橋本龍二

2018年05月21日 07時38分
YOMIURI ONLINE
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