【オスプレイ墜落事故】 ”気流乱れ”が原因/米軍調査報告書

オスプレイ墜落 ”気流乱れ”が原因 米軍 調査報告書

沖縄のアメリカ軍普天間基地の輸送機オスプレイが去年、オーストラリア沖で着艦しようとした際に墜落した事故について、アメリカ軍は、機体からの強い吹き下ろしの風が船に当たって気流が乱れ、揚力を失ったことが原因だと断定したことがわかりました。
自衛隊オスプレイを今年度から導入する予定で、専門家は日本も事故を教訓とする必要があると指摘しています。

この事故は、去年8月、オーストラリア東部の沖合で沖縄のアメリカ軍普天間基地に配備されているアメリカ海兵隊の輸送機オスプレイが訓練中に墜落し、3人が死亡したものです。
NHKはアメリカ軍への情報公開請求を通じて、軍が事故についてまとめた調査報告書を入手しました。

それによりますと、オスプレイは当時、兵士ら26人を乗せて長崎県佐世保基地に所属する揚陸艦グリーンベイ」に向かっていましたが、揚陸艦に近づいたところで、突然、揚力を失って急降下し、プロペラが甲板に接触したあと、海に墜落しました。
報告書は、原因について、オスプレイから発生した強い吹き降ろしの風が揚陸艦の右側の側面にぶつかったことで、想定外に気流が乱れて片方のプロペラに流れ込み、揚力を失ったことが原因だと結論づけています。

また、オスプレイは、着艦の際、揚力不足に陥りやすいとも指摘しており、アメリカ軍はすでに、運用マニュアルの一部を見直し、エンジンの出力をこれまでより上げた状態で降下するよう指示していることもわかりました。
アメリカ軍はオスプレイについて「機体に構造的問題はない」として安全性は確保されていると強調していますが、自衛隊は今年度からオスプレイを導入したうえで、輸送艦護衛艦でも運用する見通しで、専門家は日本も今回の事故を教訓とする必要があると指摘しています。

■専門家「オスプレイの特性 認識不十分か」

今回、明らかになった調査報告書を検証した日本の専門家は、2つのプロペラを使って飛行するオスプレイの特性が機体の安定に与える影響について、アメリカ軍が十分に認識していなかった可能性があると指摘しました。
NHKは今回、航空自衛隊の元空将で、防衛省の航空事故調査委員長も務めた永岩俊道さんに、今回の事故の調査報告書の分析を依頼しました。

永岩さんは、オスプレイが2つのプロペラで飛行するという特性に触れ、左右のプロペラに流れ込む気流に差ができたことによって、機体の安定を保つことが難しくなったという認識を示しました。
そのうえで、「特性に応じた運用をするのが極めて大事だが、完熟の度合いが不十分だった可能性も無きにしもあらずだと思う」と述べて、オスプレイの特性が機体の安定に与える影響についてアメリカ軍が十分に認識していなかった可能性があると指摘しました。
そして、自衛隊が今後、オスプレイを導入することを踏まえ、「類似の事案が起こらないよう、再発防止の観点からこの事故を細かく分析する必要がある」と述べ、日本も今回の事故を教訓とする必要があるとの考えを示しました。

NHKニュース 2018年5月22日 5時00分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180522/k10011447461000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_011

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